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新しい体験を見つけるためのヒントになる本 / 「融けるデザイン」を読んだ

UXについて書籍やWebなどで情報を収集し始め、ペルソナやカスタマージャーニーマップのようなUXに関する多くの手法がある事は分かってきましたが、手法以外の理解も深めたいと思って「融けるデザイン」を読みました。

融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論

融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論

本書を読むと日常生活に融け込んだデザインを探したくなります。ドアの形状、なぜか人が集まる場所、地面のタイルとタイルの隙間にできる溝、あらゆるところにデザインがあり、新しい体験のヒントが隠れています。それらを観察、発見し、仮説を立て評価していくことが重要だと気づきました。新しい製品やサービスは誰かの頭の中から生まれるのではなく、日常に隠れた課題を発見するところから始まるんだと分かり、その課題を発見するための手法が前回読んだUXリサーチの道具箱に書かれている手法なんですね。
iucstscui.hatenablog.com

色々な手法を知り、引き出しを増やす事も重要ですし、その手法を使いこなすために本書のようなインターフェイスと体験を軸にデザイン発想の技術を学ぶこともとても重要だと思いました。デザイナーに関わらずモノづくりに関わる多くの方にお勧めできる本です*1

それでは、特に印象に残った部分について、まとめていきます。

2-1 透明性へのアプローチ1 : 道具の透明性

本書で取り上げる透明性は道具を意識せずに目的を達成できるインターフェイスです。

たとえばハンマーのように、手に持つとそれ自体を意識せずに、釘を打つこと(対象)に集中できるようなあり方を理想であると考えるようになった。

使いやすさを意識して開発はしていましたが、「その道具や機能をどうやって使いやすくするか」を考えていました。しかし本来の目的は釘を打つことで、使いやすいハンマーを作ることではありません。ここを忘れてしまうと間違った使いやすさを探すことになりますね。
また、本書を読んでハンマーを使っている時にハンマーを意識してないことに気づきました(考えたこともなかったですが)。普段の生活の無意識な行動を意識することで、使いやすいUI発想が強化されると感じました。

2-3 インターフェイスデザインの役割 ー 「可能」のデザイン

「できる」と「やる」は違う。

その通りだと思いました。どんなに良い機能でも手順が多かったり、直感的でなかったりすると使われません。また、同じ機能でも直感的かどうかはユーザーによって変わるので、ペルソナだったり、カスタマージャーニーマップを使ってユーザーを知っていく事が大切だと思いました。

3-11 新しいUXの基礎

本書でUXは「自己帰属」させることが大切だと書かれています。自己帰属感とは自分の意図通りに道具を操作できることで、その状態は道具の透明性が高くなり自分の機能が拡張された感覚になります。この感覚を作っていくことがUXデザインだと書かれています。

最近ではスマートスピーカーに新たな拡張性を感じます。声をかけるだけで、音楽がかかったり、ニュースを受け取れたり、様々なことができるようになってきました。透明性の点ではまだ改善して欲しいと思いますが、声で操作するUIは今まで少なかったので新しい体験を生み出していると思います。

5-1 コンピュータ利用の文脈の変化

インタラクションデザインは人間の生活側に設計要素の中心がある。したがって人間の振る舞いの理解がまず必要であり、そこに入り込む意味でのコンピュータの振る舞いの理解もまた必要なのだ。

以前コンテキストに関する勉強会に参加して、UX=「ユーザーのタスク」+「コンテキスト」だと学びました。まさにそのことですね。色々な製品は日常の中で使われるので、どういった場面のどういった環境で使われるのかを理解する必要がありますし、製品に触れる前後の時間も理解することでデザインは変わると思いました。また、このようなことを考えているとユーザーの限りある時間を使って製品に触れてもらうのだから、その時間を期待以上のものにしたいとも思いました。

さいごに

UXを少しずつ学んで得た断片的な知識の隙間を本書は埋めて繋げてくれた感覚になりました。
ユーザーの生活を知ることはものづくりのために大切なことで、ユーザーを知らないと作っても使われない機能になってしまいます。そのためにペルソナを作ってユーザーの特性を理解し、カスタマージャーニーマップやユーザーストーリーを作ってユーザーの生活を理解することが大切になります。また、日常をよく観察することが優れたUIやUXを生むことも本書は教えてくれたので、日々を意識して過ごしていきたいなぁっと思いました。
とても良い本でした。


コンテキストに関する勉強会の記事はこちらです。
iucstscui.hatenablog.com

*1:私もデザイナーではありません