4月28日に奥熊野いだ天ウルトラマラソンの100kmの部に参加し完走しました。天候にも恵まれ、ベストコンディションで走ることが出来ました。
奥熊野いだ天ウルトラマラソン – 神に見送られ仏に迎えられるウルトラマラソンへようこそ
100kmを走っていると色々なことについて考える時間があります。ブログネタについても考えていると、ウルトラマラソンはアジャイル、スクラムに関連することに気づき、記事にすることにしました。
ウルトラマラソン と スクラム
計画に従うことよりも変化への対応を
奥熊野いだ天ウルトラマラソンの制限時間は14時間40分です。この時間内に100kmを完走する必要があり、完走できるように計画を立てます。計画は練習時のペースや過去大会の経験(ベロシティ)から10km単位(スプリント)で通過できるタイム(ストーリポイント)を計算します。
しかし実際に走り始めると計画と実績で差が出てきます。計画時点では分かっていなかった体の痛みや天候、自分の調子が見える化されていきます。そのさい無理して計画に合わせようとするとペースが乱れて完走が難しくなってしまいます。そこで、アジャイルマニフェストにある「計画に従うことよりも変化への対応を」です。計画はあくまでも計画です。走る前と走っている最中では情報量が異なるので最新の情報で常に計画をアップデートしていきます。計画通りに進むことは稀です。
スプリント毎にスプリントレビューとレトロスペクティブ
マラソン中はふりかえりも大切です。10km毎に予定していた時間で通過できたか(価値を届けられたか)を確認(スプリントレビュー)します。また、体の痛みや栄養補給の状況などをふりかえります(レトロスペクティブ)。体に痛みがある場合は痛みに合わせてランニングフォームを変えてみたり、回復するまでペースを落とすことを考えたり、栄養補給を多めにとったりと改善案を考えます。そして、スプリントレビューとレトロスペクティブの結果を受けて、次のスプリント(10km)の計画を更新します。
今回の大会の場合、60kmの地点で足がつりそうになっていました。そして60-70kmの区間は下り道が続き無理をすると足をつってしまい完走できない可能性があったので、ペースは上げずに走ることを決めました。
ほんと、ふりかえりは大切です。
デイリースクラムでペースのチェック
10km毎の計画を立てて10km毎にふりかえりを行いますが、その10kmを予定通りのペースで走りきれるか10kmよりも短い間隔で確認(デイリースクラム)する必要があります。疲れてきたり、ゆるやかな上り坂で知らぬ間にペースが落ちていることもあります。一定の間隔でエイドが登場するので水分補給や栄養補給と同時に現在のペースで予定通り10kmを通過できるか把握します。
苦しい時はゴールを明確に、情報共有をこまめに
奥熊野いだ天ウルトラマラソンはアップダウンが多く、後半に激しい上り坂もあります。足の疲労もピークになっていて永遠に上りが続くような不安に押しつぶされそうになります。そんな時に助けてくれるのが、頂上まであと何kmの看板です。苦しい時に現状がどうなっているのか(残り何kmか)、解決するためにはどんな方法があるのか(走らないと間に合わないのか、歩いても間に合うのか)を把握することがとても重要です。こういった情報の見える化はスクラムイベントを行うことで高まるように設計されています。(スクラムでは見える化を透明性と表現しています)
この看板は1km毎に設置されていて苦しくても確実に進んでいる事が把握できます。
モチベーションを切らさない
100kmを完走するためにはメンタルが大きく影響します。いつ辞めても良い状況で苦しい中100kmを走るのですから、軽い気持ちで走る切る事はできません。僕も過去の大会で気持ちが切れて完走出来なかった事も多々あります。では、どうやってモチベーションを保っているのか考えた結果が以下です。
- 達成することは困難だけど不可能ではない
- ゴール後の喜びが想像できる
- 背中を押してくれる応援がある
僕にとって100km完走はギリギリの目標で達成できない可能性があります。そういった、背伸びしてようやく届くような目標にチャレンジすることはモチベーションになりますし、達成した後の達成感にも繋がります。走る前のワクワク感も他ではそう味わえません。また、沿道の応援も「頑張らねば」という気持ちになります。苦しい時の応援は心の支えになります。