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アジャイル、スクラムが好きが日々から学んだことをアウトプット

スクラムとSECIモデルの関連を考えた

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スクラムについて調べると「SECIモデル」というキーワードに触れることがあります。SECIモデルとはスクラムの生みの親と言われている 野中 郁次郎さん が提唱した、ナレッジ・マネジメントの枠組みのことです。そのため、SECIモデルとスクラムは関係性があると言えますね。今回はSECIモデルにスクラムを当てはめてみるとどうなるか という点について考えてみようと思います。

SECIモデルとは

以下の記事が分かりやすいです。
SECIモデル(せきもでる):情報システム用語事典 - ITmedia エンタープライズ
【野中郁次郎氏対談】第1章 組織で「知」を生み出すための起点は、「共感」をベースにした「対話」 | Hello, Coaching!
テレワーク環境でのコミュニケーションとナレッジマネジメント〜SECIモデルから考える〜|ほったりょうと|note

SECIモデルは暗黙知から形式知形式知から暗黙知というサイクルを繰り返すことで「知」を進化させていくフレームワークです。4つのフェーズに分かれます。
共同化(Socialization)暗黙知を共有するプロセスです。「共感」によって個人と個人の知識を結びつけます。
表出化(Externalization)暗黙知形式知にするプロセスです。多くの人に伝えられる情報になります。
連結化(Combination)形式知同士を結合し、新たな形式知を生み出すプロセスです。
内面化(Internalization)形式知を実践し経験により暗黙知を得るプロセスです。

この4つのフェーズを「共同化→表出化→連結化→内面化→共同化→・・・ 」の順に回しながら「知」を進化させていくのです。

スクラムとSECIモデル

さて、このブログのメインです。スクラムの「デイリースクラム」や「プロダクトバックログ」とSECIモデルはどういった関連があるのか考察してみました。

スプリント

1ヵ月以内のサイクルで他のスクラムイベントを進めていく「スプリント」はSECIモデルをまわすことにつながると思います。スプリントを繰り返しながら、暗黙知形式知暗黙知 を進めて「知」を進化させていくのです。

スプリントプランニング

「プロダクトバックログ」という形式知から「スプリントバックログ」という形式知を生み出す「スプリントプランニング」は「連結化」に当たると思います。
また、「スプリントプランニング」はプロダクトバックログアイテムについて「価値は何か?」「どうやって作るのか?」という対話を行います。「プロダクトバックログ」で形式知になっていなかった暗黙知を引き出すこともするため「表出化」にも当たります。

デイリースクラム

1日分の作業を共有し、スプリントゴールに向けて適応していく「デイリースクラム」は暗黙知の共有にあたる「共同化」に当たると思います。起こった事象に共感し、チームの「知」を育てていくのです。

スプリントレビュー

スプリントの成果を確認し、プロダクトバックログを更新する「スプリントレビュー」は「連結化」に当たると思います。すでに完成している成果(形式知)からプロダクトバックログ(形式知)を生み出すのです。

スプリントレトロスペクティブ

今回のスプリントの暗黙知を共有し、次スプリントに向けて改善を決定する「スプリントレトロスペクティブ」は「共同化」に当たると思います。実績と感情を共有することで「共同化」が進み、共感し具体的なアクションに繋がるのです。

プロダクトバックログ・スプリントバックログ

プロダクトの改善に必要な一覧である「プロダクトバックログ・スプリントバックログ」は「形式知」の塊です。スクラムチーム全員の形式知となり、この「知」をベースに開発するのです。

インクリメント

開発し作成される「インクリメント」は「形式知」です。「形式知」はドキュメントというイメージもありますが、動くソフトウェアはそれ以上に価値のある形式知だと思います。

まとめ

スクラムでSECIモデルのサイクルを実践できる
  • 「スプリントプランニング」は「表出化」と「連結化
  • 「デイリースクラム」は「共同化
  • 「 スプリントレビュー」は「連結化
  • 「スプリントレトロスペクティブ」は「共同化
  • 「スプリント中の開発」は「内面化
  • 「プロダクトバックログ・スプリントバックログ・インクリメント」は「形式知

図にするとこんな感じです。冒頭に貼った図と同じです。
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暗黙知も大切

暗黙知形式知にした方が良いとは思っていましたが、暗黙知をためた方が良いと考えたことがなかったです。SECIモデルはそのことを教えてくれます。このインタビュー記事(【野中郁次郎氏対談】第1章 組織で「知」を生み出すための起点は、「共感」をベースにした「対話」 | Hello, Coaching!)に「SECIモデルは、共感」から始まります。」という言葉があります。共同化フェーズで対話を通じて共感し知的なぶつかりあいを起こすことがイノベーションに繋がると書かれていました。スクラムの各イベントも暗黙知を持ちより、対話し、共感することが大切だと気付きました。

関連する過去記事

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iucstscui.hatenablog.com

スクラムについていろいろと記事を書いてます
iucstscui.hatenablog.com