はんなりと、ゆるやかに

アジャイル、スクラムが好きが日々から学んだことをアウトプット

思い込みを取り除け! / U理論を読んだ

U理論」ちょくちょく単語は耳にしますが、何か分からないものでした。 どういったものか知るために本書を手に取りました。具体的な部分もありますが、どちらかというと抽象的で、完全に理解するというよりも感覚的に身にまとっておくような内容だと思いました。

U理論はなんですか?

と質問されたら「思い込みを取り除いて、今まで見えてなかった将来や未来を見つけ、行動する」ためのフレームワークや考え方です。以下にフレームワークの概要をまとめました。1から7へと進んでいきます。

  1. ダウンローディング(Downloading)…思い込みや習慣でモノゴトを捉えている状態。
  2. 観る(Seeing)…思い込みや習慣による判断を保留して、モノゴトを観ている状態。
  3. 感じ取る(Sensing)…自分はモノゴトに影響を与えていて、与えられているということに気付く状態。言い換えると、システム思考のフィードバックループの中に自分も組み込まれていることに気付いた状態。
  4. プレゼンシング(Presencing)…「感じ取る」の状態を維持することで、「ダウンローディング」状態では見つけられなかった未来やアイデアが見えてくる状態。
  5. 結晶化(Crystallizing)…プレゼンシング状態で見えた未来やアイデアの意図やビジョンを明確にしていく
  6. プロトタイプ(Prototypying)…完成前に小規模な範囲で実験し、速いフィードバックと見直しを行うこと。
  7. 実践・実体化(Performing)…実験の範囲を広げていく。広がるにつれプロトタイプでは得られなかったフィードバックを取れ入れていく

U理論で例をつくってみる

個人的に分かりやすい例えを考えてみました。

※注:スクラムを例にしますが、スクラムを批判している訳じゃないですよ。

ダウンローディング

プロジェクトの問題はすべてスクラムで解決できると思い込んでいるので、問題が見つかっても、「スクラムで開発すれば良い」「スクラムが回ってないので改善した方がいい」と、現場の状況をろくに観察せずに決めつけている状態です。良くない。

観る

スクラムという方法論はいったん置いておいて、問題の原因を分析し、絡み合っている因果関係を見つけようとしている状態です。スクラムという拘りがプロジェクトを混乱させている要因だと気付き始めます。

感じ取る

問題を分析し、因果関係がわかった。また、その問題に自分も加担していることに気づいた。部分最適ではなく、全体最適するために何ができるか考えている状態です。自身の課題に気づく、チームの課題に気づき、プロダクトの課題に気づいています。

プレゼンシング

スクラムが唯一の解決策だという思い込みを捨て、問題に向き合い、自身と向き合い、関係者と対話し、全体を把握できたため、新しい開発後の姿が見えてきた

結晶化

プレゼンシングまでの気づきや変化から生まれた新しいアイデアの意図やビジョンをまとめた状態です。それは、今このプロジェクトに必要なアイデアです。

プロトタイプ

生煮えのアイデアを自チームで実験し始めました。すると、実践によって分かった課題が見つかり、アイデアを見直しながら進めています。

実践・実体化

イデアを自チームで運用し、改善し続けた結果、効果的であることが分かってきました。アイデアを広げるため再現できる形にまとめ、他チームに展開したり、カンファレンスで発表し、新しい課題が見つかりました。引き続き、アイデアをブラッシュアップしている状態です。

小まとめ

ということで、思い込みやエゴにより狭めていた可能性を広げ、自身、チーム、組織など狭い範囲から広い範囲まで考えることで新しいアイデアを実現できるフレームワークです。

大事だと思った考えやキーワードなど

本書の中から大事だと思った考えやキーワードを紹介します。

未来から学ぶ

プレゼンシングの意味は、未来の最高の可能性を感じ、同調し、そこを起点に行動するということだ

過去からの学びも重要だと紹介しつつ、それだけでは不十分で未来からも学ぶことが大切だと書かれています。そして、未来からの学びを起こすプロセスがU理論です。「今までがこうだから」という理由で諦めていたこと、思考停止していたことを、保留して、理想の未来を考え、そこから逆算してアイデアを作るフレームワークだと理解しました。

全体を感じる

本書はシステム思考の考え方も登場します。フィードバックループを理解し全体を感じることで、目の前の問題も自分が引き起こしていることに気づくことが大切です。

境界を意識する

過去の私と未来の私、行動と内面(源)、私と他者、私と組織、チームと組織、会社と社会、色々な部分に境界があります。また、内面も以下のように境界があります。

  1. 私の中の私〔I-in-me〕…境界内の私
  2. それの中の私〔I-in-it〕…境界内にいることを認知した私
  3. あなたの中の私〔I-in-you〕…境界の外から見た私
  4. 今の中の私〔I-in-now〕…全体から見た私

これらの境界を意識することで、ダウンローディング状態であることに気づきやすいと感じました。とくに、「行動と内面(源)」です。なぜそのような行動をしたのか。しっかりと向き合うことで今まで見えなかった未来が見えるかもっと思いました。

人生が自分に何をすべきかを呼びかける 声に耳を傾けよ

上記にも書きましたが、U理論は内面を知ることが重要だと書かれています。内面を知るためにマインドフルネスなど具体的な手法も登場しています。その中でもやってみようっと思ったことは「毎日の4分ふりかえり」です。自分を客観視し振り返ることで、内面を知る機会になります。

対話重要

本書でも対話にまつわる話が出てきます。思い込みをなくして「知る」ということが非常に重要で、そのために対話が重要だと思いました。

対話に関する書籍でも、思い込みで決めつけない重要性が書かれていました。「他者と働く」では私とあなたの境界について書かれており、対話についても境界を意識することは大切です。
iucstscui.hatenablog.com
iucstscui.hatenablog.com

最後に

「思い込みを取り除いて、今まで見えてなかった将来や未来を見つけ、行動する」

簡単なようで、できないことだと思います。宗教用語が出てきたりしますが、ロジカルに新しいアイデア(未来)を見つける方法が書かれた本です。
抽象的なこともあり理解して実践するまでに時間がかかりそうですが、読み直したり、少しずつ意識して身につけたいと思います。