今回の本
「成長」というキーワードが好きなんだと思う。映画はマイ・インターン、マンガはアオアシというようにサクセスストーリーが好きだし、少しずつ上手くなっていく感じが楽しくてスポーツをするのも好きだ。本書は人が成長する組織について書かれている。タイトルにも書かれているとおり「弱さ」がキーワード。組織に属すると無能と思われたくないため、弱さを隠す仕事に時間を使っていると指摘している。弱さを見せあうことが継続的に成長できる組織をつくる一歩であることを学べる一冊だ。弱さをオープンにすることが成長に繋がる
本書は3社(デキュリオン、ネクストジャンプ、ブリッジウォーター)の事例が紹介されいてる。どの事例にも共通していることは弱さと向き合う仕組みや文化があることだ。
たとえば、ブリッジウォータ社はドット・コレクターと呼ばれるシステムがあり、全社員が他の人の行動にフィードバックできる。また、イシューログと呼ばれる失敗や問題を記録するシステムもある。ネクストジャンプ社は状況ワークショップという仕組みでその週にあった問題について対話する時間がある。デキュリオンも毎日10分程度の時間でその日の状況や目標、フィードバックが行われる仕組みがある。
いずれの仕組みも仕事を上手くやるためのフィードバックだけでなく、人の内面の成長を促すフィードバックも含まれている。
心理的安全性が大切だと色んな場面で耳にしてきたが、心理的安全性は結果としてあるものであって、「心理的安全性な場にします!」と宣言したところで作られない。と感じてる。そして、3社は心理的安全性がつくられる仕組みを取り入れていてすごいと感じた。さらにすごいところはマネージャーから部下に対してだけでなく、社員全員がお互いにフィードバックする仕組みになっていることだ。お互いに弱さがあることを認知して、フィードバックは相手のためであり、会社のためであることを信じているからできるのだと思う。
いきなり同じように全社員でフィードバックし合おうというは無理だと思う。本書にも文化があるからこそできるとも書かれていた。ただ、少しずつでも、上司部下、専門領域内外、関係なく、相手への謙虚・尊敬・信頼を持ちフィードバックし合える文化を作っていきたいと思った。
成人発達理論がわかりやすかった
「インテグラル理論」、「「人の器」を測るとはどういうことか」、「人が成長するとは、どういうことか」成人発達理論に関連する書籍は何冊か読んできた。何冊か読んできたからこそもあるが、成人発達理論に関する部分がわかりやすく感じた。
『第2章 「発達」するとはどういうことか?』が成人発達理論に関する部分だ。
1980年代以前は大人になってからの成長はないと言われていたのだが、研究の成果で大人になっても成長することがわかった。成長すればするほど自分の思考と感情に責任を持ち、周囲の環境や情報を保持し、自分の思考と周囲の思考を融合させながら、遠い未来のことを考えられるようになるそうだ。成長のプロセスは人によって進み具合が変わるし、多くの人は途中で止まるとのこと。
大人の知性には3つの段階がある。簡単に説明すると以下。
- 環境順応知性・・周囲からの期待で自己が形成される
- 自己主導型知性・・周囲を客観的に見ることにより、自分の価値基準と周囲の期待に基づいて判断ができる
- 自己変容型知性・・自分の価値基準を客観的に見れるようになり、世界の不完全さを理解し、複数のことを保持しようとする
上記の説明は本書を読まないとちんぷんかんぷんだと思うが、成長するにつれ、自己中の自己の範囲がどんどん広がっていくイメージが近いと思う。また、成長すればするほど、複雑性に対処できるようになるため仕事もできるようになる。
成人発達理論を学んだところ何になるんだ?と思う人もいると思う。一つ、読書や学びは必ずしも役に立つために読まなくてもよいと思う。いつかどこかで役立つ可能性はあるけど、好奇心の方が読む理由として強い。二つ、とはいえ知っていると自分や他者を理解しやすいと思う。あの人は「環境順応知性」だから……とラベルを貼って評価する行為はよくないと思うが、その人の段階によって効果的なフィードバックは変わってくるので効果的だと思う。
発達志向型組織に必要なエッジ、ホーム、グルーブ
組織と個人が継続的に成長することを最重要に位置づける文化を持つ組織を発達志向型組織(DDO)と呼んでいる。DDOが成り立つための3つの軸が紹介されている。それが、エッジ、ホーム、グルーブだ。それぞれ、4つの考え方が説明されている。個人的に特に気になったのを3つ紹介する。
エッジ:②弱さは財産になりうる。失敗はチャンスだ。
グルーブ:⑦計画の達成ではなく、成長を意識した時間の尺度をもつ
ホーム:⑪みんなが「僚友(クルー)」を必要とする
※長くなるので詳細は本書を読んで欲しい。
「弱さ」を見せればいいんだよってことだけでなく、そのために考えるべき事、仕組みを作ること、のヒントが書かれているのはよい。こういう組織が作りたいと思ったときに参考になる。あとは自分で工夫して自社に取り込めるかどうかだ。それが難しい。熱狂的なリーダーシップが必要だし、それがいいと思えるビジョンの提示も必要だ。ほんと、難しい。
さいごに
人の成長を最重要においた組織が学べる一冊。概念から実例まで書かれているので理解しやすいと思う。組織と人の成長について考えている方にはお勧めできる一冊だ。
