はんなりと、ゆるやかに

アジャイル、スクラムが好きが日々から学んだことをアウトプット

『たんぽぽの日々』を読んだ

俵万智さんをご存じでしょうか。

『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日

歌集『サラダ記念日』が有名な歌人です。

今回読んだ本は俵万智さんの子育て歌集「たんぽぽの日々」です。

子育て歌集ということで、子育てにまつわる短歌とその短歌に関連するエッセイがまとめられた歌集です。短歌で想像を膨らまし、エッセイでその短歌に込めた思いを知って、共感したりクスっと笑えたり考えさせられたり、心が忙しい書籍です。

私も子育てを経験しているのですが、この本の一つの歌に心を惹かれて手に取りました。その歌は以下です。

自分の時間ほしくないかととわれれば 自分の時間をこの子と過ごす

好きなだけ寝たい、趣味の時間を作りたい、などやりたいと思うことはたくさんありますが、悪魔が取引にやってきて「そういう時間をいやというほどあげますから、あなたの子どもをください」と言ったら答えは即座にNOだろう」というようなエッセイ(かなり要約しています)を読んでさらに共感です。

子育ては大変です。うまくいかないこと、おもいどおりにいかないことの連続です。疲れますし、時間も必要です。それでも、一緒に過ごしたいと思うのです。今はまだ一緒にいる時間は長いですが、いずれ親の手も必要なくなり、一緒に過ごす時間は減っていくでしょう。だから今しかない貴重な時間をじっくり味わいたいと思うのです。子育て以外の時間を作りつつも、それ以上に子どもと過ごす時間は大切にしたい。そういうことを考える歌です。

この本のおすすめポイントは歌だけではありません。市橋織江さんというフォトグラファーの方が撮影された写真もおすすめ。歌+写真+エッセイの相乗効果で言葉以上の感情を想起させてくれます。市橋織江さんの写真は市橋織江 orie ichihashi (@evanceorie) / Twitterで見ることが出来ます。市橋織江さんの写真は空間に余白があり、淡く優しい色合いの写真が特徴だと思います。こういう写真が撮れたらなーと思う憧れのフォトグラファーです。

まとめ

『たんぽぽの日々』を読みました。子育てに関しては色んな書籍があります。とうぜん実用的な本も大切です。それとは別に「子育て」という共通の経験をされた方と悩みや喜びを共有するようなこの本も良いのでないでしょうか。

「たんぽぽの綿毛を吹いて見せてやる いつかおまえも飛んでゆくから」表紙のカバーにも書かれている歌です。いつかは親から飛び立って新しい場所で生活をしていきます。そしてその生活は今のように知ることはできません。その時は本人が楽しく生活してくれればそれで良し。近くにいる今の時期にしかできない楽しみを存分に味わいながら見届けたいなと思います。