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絵と写真の教養を深める本!「絵を見る技術 -名画の構造を読み解く-」を読んだ

絵や写真をきちんと見れるようになりたい!絵や写真の技術を向上させたい!と思っている方!ちょうど良い本があります。

絵を見る技術 -名画の構造を読み解く-

絵を見て、「なんとなく好き。」「なんとなく嫌い。」の”なんとなく”が分かるようになる本です。それが分かれば、美術館で絵や写真を見たときにより楽しめるし、自分で絵や写真を創作するときも同じ点を気を付ければより良い作品ができます。

目次と超簡単な要約

序章 君は見ているけど、観察していないんだ、ワトソン君――ビジュアル・リテラシー

美術教育を受けた人と、受けてない人の絵の見方の違いを学べます。絵を見たとき目立つ部分だけ見てませんか?美術教育を受けた人は絵の端から端までくまなく見ています。それは何を見ているのか。それを学べるのが本書です。

第1章 この絵の主役はどこ――?フォーカルポイント

絵の中の主役(画家が一番見せたい部分)の見つけ方を学びます。わかりやすく「真ん中に主役ドーン」という方法以外にも、明暗の差で表現したり、リーディングラインと呼ばれる主役に向かう線で表現したり、色々な見つけ方を学べます。

第2章 名画が人の目をとらえて放さないのはなぜか?──経路の探し方

画家は絵の端から端まで見てほしい。だから、そのように見てもらえるように誘導する線が書かれています。線といっても、人物の目線とか、建物や体のラインとか、小物の配置とか多様です。特に四隅は勝手に目が向きやすいので内側に誘導する工夫が施されています。

第3章「この絵はバランスがいい」ってどういうこと――?バランスの見方

絵のバランスが良いとは何かを学びます。絵には柱となる構造線があります。縦の線、横の線、斜め線、それぞれ受ける印象が変わり、斜めの線は右上がりか右下がりでも印象が変わります。それ以外にもS字や三角や左右対称など多くの構造線があります。絵の左右の重みとかもあり、奥が深い。

第4章 なぜ、その色なのか?──絵具と色の秘密

色の歴史と働きについて学べます。色の働きに関しては色相、明度、彩度の3つを掘り下げていて、それぞれを分けて見れるようになると分析しやすいとのこと。

第5章 名画の裏に構造あり──構図と比例

絵の構図について学べます。有名な絵は白黒にし、ひどくボカしても「あの絵」だとわかるぐらい、構図は重要です。よく耳にする3分割や初めて聞くラバットメントパターンなど、様々な構図のパターンを学べます。

第6章 だから、名画は名画なんです

前章までが絵の骨格にあたる部分だとすれば、表面部分を取り扱っている章です。輪郭線のあるなし、疎か密か、仕上げの質感、形の反復など。

補足

実際に読み進めると名画を例に説明していててとても分かりやすいです。たとえば、リーディングラインも、構造物、小物、目線がすべて主役に向かっている部分を補助線を使って説明してあります。教えてもらわないと見分けつかないです。

特に気になったこと3つ

全体通して絵を見る時や写真を撮る時の参考になることだらけだったのですが、特に気になったことを3つに絞って紹介します。

見ると観察の違い

常に問いを立てながら見ていて、その問いがスキーム(見るための枠組み)の役割を果たしています。
・・・
美術教育を受けた人とそうでない人では、絵について言葉で描写するときのポイントが違うことが分かっています。前者は「輪郭線がある、ない」とか「この色が目立つ、あの形が目立つ」など造形的な要素を指摘するのに対し、後者は「明るい、暗い」と漠然とした印象を述べる傾向が見られます。

冒頭で書いたように「なんとなく好き。」「なんとなく嫌い。」はただ見ている状態です。知識を持ち、問いを立てることで観察が出来るんですね。

写真の技術を向上させるために、写真集を見た方が良いと言われることもありますが、ただただ見るだけでは成長しなくて、観察が必要なのだと気付きました。主役はどこにいて、主役を目立たせるために〇〇で表現されている。写真家の特徴として全体的に青色に寄ってて……。という感じで良いなと思った写真は本書で学んだことを活かして言語化してみようと思いました。

主役を決めることと、主役に注目を集めること

写真を撮る時、自分が何に感動したのか、何を伝えたいのかを明確にした方が良いという意識はあります。

ただ、自分で言うのもなんですがワンパターンなんです。日の丸構図、3分割の交差点、主役以外をぼかす。たぶんこの3つぐらいです。

本書を読んで主役に注目を集める色々な方法を知れました。上記以外だと、「他と比べて大きい」「明暗の落差が激しい(コントラストが強い)」「 リーディングライン(誘導する線がある)が向かっている」も意識したいと思います。

構図

写真を撮り始めたらまず意識したのは3分割構図でした。それ以降、ほぼ3分割構図一辺倒。上達するためにはこれじゃダメなので色々と覚えていきたいです。

本書によると、まずは十字線と対角線を引くと良さそうです。きちんと並んでいたり、大きさがそろっていると人は安心するので、その線を軸に構図を考えてみたいと思います。それ以外にも1/2、1/3、1/4も意識すると良い。ラバットメントパターン、直行パターンというのもある。風景がは前景にスライドインする要素を入れ、それを後景で右肩上がりか右肩下がりの斜線と繋げて、中景にメインを置くと良いとされている。

………いや、覚えること多いな。一気に覚えて使いこなすことは難しそうなので、撮影ごとに意識する要素を決めて取り組んでみようと思います。

さいごに

「絵を見る技術 -名画の構造を読み解く-」は絵や写真の理解を深めるための良書でした。主役の見つけ方や構図の工夫、色の効果など、具体的なテクニックが多数紹介されています。美術館での鑑賞がより楽しく、自分の写真撮影にも大いに役立つ一冊でした。