はんなりと、ゆるやかに

アジャイル、スクラムが好きが日々から学んだことをアウトプット

プロダクトリーダーシップのヒントが見つかる - EMPOWERED を読んだ -

EMPOWERED - 普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ - を読みました。今、私が置かれている状況におけるヒントがたくさん書かれており、タイミングも相まって最高の書籍でした。

本書は「エンパワーされたプロダクトチーム」を築く方法が書かれています。「エンパワーされたプロダクトチーム」とは「力を与えられたチーム」というニュアンスです。チームが能力を発揮できるためのリーダーシップが学べます。チームを育てて、顧客に愛され、ビジネスがうまくいくプロダクトを作っていくのです。

本ブログでは本書の要約というよりは、本書を読んで特に響いた部分をまとめていきます。

本書の目次

PART I:一流テクノロジー企業から学んだこと
PART II:コーチン
PART III:人事
PART IV:製品ビジョンと原則
PART V:チーム・トポロジー
PART VI:製品戦略
PART VII:チームの目標
PART VIII:ケーススタディ
PART IX:ビジネスコラボレーション
PART X: インスパイアされ、エンパワードされ、トランスフォームする

全体像

繰り返しになるのですが、本書は顧客に愛され、ビジネスがうまくいくプロダクトをつくるために、「エンパワーされたプロダクトチーム」を作ることが書かれています。

そのためのヒントは「プロダクトリーダー(マネージャー)の姿勢」、「戦略・ビジョン・目標」「チーム」「マネージメント」という切り口で整理できると思いました。

プロダクトリーダー(マネージャー)の姿勢

プロダクトリーダーは、顧客にとってもビジネスにとっても成り立つ解決策を模索し続けることが重要だと学びました。とうぜん、両立は非常に難しいです。たとえば、今すぐリリースしたほうが良いと分かっていても開発が間に合わないなど、困難が付きまといます。こういう時にやるべきことは情報を集めて整理して報告するのではなく、出来る方法をチームと相談しながら成功の道筋を模索することだと学べますスクラムの価値観だとコミットメントですね。

自分の経験だと難易度の高い問題を短期間で解決しなければならないときの状況を思い出します。ステークホルダーには悪い状況であることを伝え、最善を尽くすことをコミットし、チームには妥協しないメッセージを伝え、諦めず試行錯誤を何度も繰り返し、乗り越えたことがあります。出来ることなら同じような状況にならないようにしたいですが、その時の動きは姿勢としては正しかったような気がしました。
意識すべきことは「頼もしさ」「会社にとっての最善」「説明責任」「意志決定」のようです。


話は変わりますが、著者がプロダクトマネージャーを評価するときの項目が「CHAPTER8 評価」に書かれていました。非常に幅広いです。項目だけ抜粋しますと以下です。努力しても満足できることはなさそうなレベルです。日々精進します。
製品知識
 ユーザーに関する知識、データに関する知識、業界に関する知識、事業に関する知識、オペレーションに関する知識
プロセススキルとテクニック
 プロダクトディスカバリーに関する知識、最適化の知識、デリバリーの支援、開発プロセスの知識
対人スキル
 協力関係を築くスキル、エバンジェリストのスキル、リーダーシップのスキル

ビジョン・戦略・目標

ビジョン・戦略・目標は、モノを作るのではなくチームを率いてい成果を出すプロダクトリーダーとして重要なアウトプットの一つだと思います。どんなビジョンが良いのでしょうか?本書でもビジョン・戦略・目標に関する項目が多数ありました。私なりにまとめてみました。
・顧客にとっても、チームにとっても魅力的
・チームが納得できる、集中できる
・チームとディスカッションして決めている
定量インサイト、定性的インサイト、テクノロジーインサイト、業界のインサイトから導き出した
・連鎖的に良い成果が達成できる

難易度が高い!だからこそ、モチベーションに繋がります。
ビジョン・戦略・目標は多くのインプットが必要だと分かります。それぞれ得意不得意があると思います。得意な部分は意識せずにできると思うので、苦手な部分を意識して取り組むと良いでしょう。私は定量インサイトを見つける経験がないので伸ばしたいと思います。

また、決めたビジョンはストーリー(ナラティブ)にまとめて伝わりやすくしましょうとも書かれていました。最近ストーリーテリングという単語を聞く機会も増えたので、そちらも成長したいポイントです。

チーム

エンパワーされたプロダクトチーム」を築こうと言っているのだから、チームが重要なことは理解いただけると思います。チームは採用と成長の大きく2つの要素があります。

採用
採用についても複数の言及がされていました。大枠はチームトポロジー(責任範囲、依存関係、多様性の切り口でチームを分ける考え方)に基づいてチーム編成や採用を進めていくと良いとのことです。自立したチームになるようにある程度の広さを持った責任範囲が重要だと感じました。

育成
もう一点は育成です。本書ではコーチングにページを割いている印象でした。メンバーを信じ、全員が能力を発揮できる状態を目指してコーチングしていきます。特に「育てる機会を見つける」が重要だと感じました。言葉から積極的に育てようという意思が感じられます。開発に必要なスキルセットと本人のスキルを考えてみたり、1on1を通して本人の希望と現実の差から何が必要か話してみたりとやることはたくさんあります。関連して印象に残った部分も引用します。

あなたがマネジャーであれば、最も多くの時間とエネルギーをチームのコーチングに割くべきである。つまり、チームの評価、コーチングプランの作成、チームメンバーの向上と成長の積極的な支援といった仕事に、心血を注がなければならない。

コーチングは個人に対してもチームに対しても必要です。コーチングというジャンルが好きで勉強はしていましたが、具体的にメンバーをどのような育てると良いのか、チームはどういう方向に向かえばよいのかを考えられていませんでした。コーチングして欲しい人がいれば活用したいなという意識低めでしたので、改めて積極的に取り組もうと思います。

マネージメント

マネージメントは幅広いので特に気になった部分だけ取り上げます。

目標

何度も書かれていた言葉は「解決すべき問題を目標にする」です。解決策に対して専門性を持っているのはチームです。どうやって解決するかはチームに任せることでより良い解決策が見つかりますし、自主性も高まります。解決策まで決めてしまうと、チームは「もっといい方法があるのに…」と思いながら、やらされ感で開発する可能性もあります。どのレベルで任せるか難しい場合は、チームと相談すれば良いと思います。リーダーは決める責任がありますが、一人で決めなくてもいいのです。

コラボレーション

チームを分けるとどうしてもチーム間の連携にパワーが必要になります。チームは内側で解決しようという重力が発生します。別チームとコミュニケーションするのって面倒なのです。しかし、イノベーションを起こすにはコラボレーションは必須です。異なる知と知を混ぜ合わせることが必要です。だから、リーダーはチーム間のコラボレーションが起こるように行動する方が良いとのことです。リーダーが複数チームをつなぎ合わせるのです。
コラボレーションは開発速度を落とすものですし、仲良くない人と話す必要あります。積極的にやりたいという人は少ないと思います。しかしリーダーが理由を伝え、コラボレーションの力を信じ、リードする必要があると感じました。

進捗

プロダクトリーダーが確認しないと進捗情報が入ってきません。また、複数の課題を並行で進むと思いますので、管理していないと特定の課題だけ進んで他の課題は進まないなんてこともあります。プロジェクトマネジメントよりもプロダクトマネジメントをしましょうと書かれていましたが、プロジェクトマネジメントも必要です。定例のMTGや週報、1on1など手段は多数ありますので、進捗確認する場を作りましょう。

まとめ

出来てなかったことがたくさん見つかる書籍でした。まとめきれずにここに書いてないけど参考になる部分が大量にありました。
読み返したりしながらプロダクトマネジメントの力を伸ばしたいと思います。