広告写真や映画撮影で活躍されている瀧本幹也さんのハウツー&エッセイ「写真前夜」を読みました。
写真1枚1枚に対する考え方や撮り方、苦労。さらに写真との向き合い方が知れる一冊です。とても良かったです。作品に対する想いの強さを感じられました。写真に関わらず想いの強さは重要ですね。
この記事では写真と文章がセットになった書籍です。文章の要約しても魅力は伝わらないと思いますので、要約は一切なくして私が何を感じたかだけまとめていきたいと思います。
01 建築/写真手法のヒント
自分の「好き」と「技術」にこだわりを持つことが個性に繋がるのだろう。
好きについて:写真だと「花」が主役の写真を撮るのが好きだ。そこで終わらずに、「〇〇な花を撮るのが好きだ。」までこだわりを持ちたい。〇〇には「小さな」とか「一輪」とか「日常にある」とか。そういうイメージ。
技術について:技術は単純に撮影に関する技術。光を読む力とか、構図のバリエーションとか、カメラの使い方とか。
「好き」「技術」のどちらかではなく、どちらも重要だし相互作用している。好きを表現したいため技術を高めた方が良いし、技術が上がれば新しい見え方ができる。
02 自分の写真を探す/藤井保のその先へ。
人との出会いが自分の価値観や考え方を広げると思う。今まで思いもつかなかったことが可能になる。瀧本さんは色々な方と撮影を共にすることで考え方を広げられていた。そうして、自分の写真が見つかるのだろう。
別の写真家さんのワークショップに参加したときも「自分らしい写真」がテーマだった。写真に関わらず、表現すること・誰かに見てもらうことは「自分らしい」から切り離せないのだろう。そのときのワークショップでは「自分らしい=他の人と自分の差」だと説明されていた。だから、好奇心を持つ。あの人はなぜ赤い服が多いのか、あの人はなぜあのような発言をしたのか。差を見つける。そして深堀する。その結果、自分らしいが分かったり、広がったりする。
03 カメラと写真の関係
写真を仕事にすると、表現したい写真が撮れるカメラを選定する。趣味ではそうもいかない。すべての買う余裕はない。でも、自分の好きなカメラで好きなように撮れるのが趣味の良いところ。
04 写真のリアル・フェイク・ファンタジー
写真はその場に合ったものを映すのでリアルではあるのだが、その場を工夫して作ることができるのでファンタジーな要素もある。これに関しては良い悪いはなくて、何を表現したいのかだと思う。
家族写真の場合はリアルな日常が記録に残るのが良いと思う。散らかった部屋の中で撮った写真を5年後、10年後に見たとき、散らかった物一つ一つに懐かしさを感じる。話が弾む。一方、観光写真は加工スポット以外のものを映さないようにした方が良い。結局、誰に何を届けたいのか。それに尽きる。
05 宇宙への憧憬/マクロの視点
一筋縄ではいかないことも情熱を持って行動することで解決できる。情熱。自分からは遠い言葉だが引き寄せたい。
06 ラフォーレ/アートディレクターとの協奏
アートはこだわりと違和感なのかも。パッと目を引く印象と訴えかけるメッセージ性が両立して成立するのかもっとアートの何も知らない人間がそう思った。
アートに限らず、こだわりと頑固の違いが難しい。人の意見もきちんと聞いたうえで進めればこだわりになるのかな。
07 映像作品と写真
映画やドラマのポスターの難しさについて意識したことはなかったが、何時間もある作品を1枚の写真で魅力的に表現すると考えると難しさが分かる。
08 記憶に残る写真
狙いがあれば大胆に。
「自分らしさ」とも関係してくる話だ。写真を撮る時、場所ごとの定番の構図がある。それだけの撮影では「自分らしさ」とほど遠い。良いと思った場所。そこだけを勇気を持って切り取れるかどうか。
09 5大陸へ繋がる想い
好きなことに本気で向き合えているのか。調べている時間、考えている時間、取り組んでいる時間。ちゃんと費やせているのか。丁寧に、ストイックに。
10 続いていく広告の仕事
広告は興味を持ってもらう必要がある。そのために、今まで違う表現が重要になっている。
11 いつも自分の写真を撮るには
まず、表現したいことを考える。まず、ビジョンを描く。まず、やりたいことを考える。できるかどうかは後回し。後に回した「できるかどうか」はどうやったらできるのか?に思考を変える。それぐらいの熱量を持ちたい。
12 暗闇の先に見えたもの/ミクロの視点
環境変化があると写真も変わる。成長に変化は重要だなと思う。
最後に
写真に本気で向き合われていると感じられる一冊です。どういう風に考えて撮影したいのかが分かるので、写真が好きな方は興味深く読めると思います