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矛盾した感情から問題解決 -「パラドックス思考」を読んだ -

パラドックス思考 ─ 矛盾に満ちた世界で最適な問題解決をはかる」を読みました。

本書は問題の裏側に潜む「矛盾した二つの感情」にスポットライトをあてます。たとえば、「痩せたいけど、甘いものが食べたい」などです。この矛盾が起こる背景を学んだあと、解決方法や創造性の発揮方法が学べます。仕事以外にも応用の効く思考法ですので、多くの方が参考になると思いますが、特にマネジメントしている方は参考になる部分が多いかと思います。部下を持つと色々な感情と向き合い、悩むことが多いと思います。それを解決するヒントが見つかるのではないでしょうか。

どういった本なのか?を知りたい方は 矛盾に満ちた世界で“二者択一”の抜け道を探る「パラドックス思考」とは何か? | CULTIBASE を読んでいただくと良いと思います。

また、著者の一人である安斎さんが本書を解説されている記事もあるのでそちらも参考ください。
【『問いのデザイン』のB面】新刊『パラドックス思考』に込めた“矛盾と遊ぶ”効能|安斎勇樹|note
『パラドックス思考』が(惜しくも)刺さらなかった読者への手引き|安斎勇樹|note

さらに!著者のお二人がお話されているPodcastもあります。CULTIBASE Radioの中のPlayfulラジオ。特に4回目は本書でも登場する「めんどくさいけれど愛らしい」というキーワードが登場します。
「人間とは、面倒くさいけど愛らしい存在である」|CULTIBASE Radio|Playful#4 | CULTIBASE

最後に!超相対性理論というPodcastでは組織における感情を取り扱ったテーマがあり、おすすめです。合わせて聞くと感情に対する解像度があがるかも。本ブログで何回か紹介していますが、超相対性理論というPodcastはお勧めです。
#91 組織での「感情」表現を考える(その1)【超相対性理論】 - 超相対性理論 | Podcast on Spotify

では、私が気になった部分をまとめていきます。

目次

PART 1 理論編

PART 2 実践編

おわりに

感情パラドックスを知ると気持ちが楽になる

パラドックス」とは矛盾した状態のことです。本書は論理パラドックスと感情パラドックスを説明し、感情パラドックスに注目して展開されていきます。

感情パラドックスは以下のように定義されています。

問題の背後に、矛盾する感情Aと感情Bが存在する
どちらかの感情を優先すると、納得のいく答えが出せなくなる状態

たとえば、「痩せたいけど、甘いものが食べたい」という感情です。色々な場面で思いあたることがありますねー。「必要性はないけど、新しいカメラがほしい」とか。

わかりすぎます。

さらに本書はこの感情を「めんどくさいけれど愛らしい特徴」として受け入れましょうと提案します。

私たちは、こうした人間の感情のパラドックスを、むしろ人間の「めんどくさいけれど愛らしい特徴」として受容することこそが、問題解決の重要な戦略だと考えているのです。

私自身、そんなに悩む方ではないのですが、答えを出せずにいる時は本書に書かれているとおり、矛盾する感情や考えがグルグルグルグル回っていたなーと気づきました。それ自体がよくあることだということ、またそれが愛らしい特徴だということ、それが分かれば気持ちが落ち着きますね。落ち着くと冷静に感情に気づけます

そして、この自分の矛盾した感情に気づくことが大事なのだと本書に書かれています。

気づけると扱える

本書では「メタ認知」という言葉で説明されていますが、自分の悩みを客観的に把握することが問題を解決するために重要です。目の前のことに夢中になっていると思考が凝り固まって抜け出せないことありませんか?「新しいカメラが欲しい」「でも、今あるカメラで撮ることはできる」「でも、新しいカメラが欲しい」「でも、必要ないことにお金をかけるのか」・・・・・

そこでの提案は悩みをパターンに当てはめてみることです。本書では5つのパターンが紹介されていました。

  • パターン1【素直 ⇄ 天邪鬼】
  • パターン2【変化 ⇄ 安定】
  • パターン3【大局的 ⇄ 近視眼的】
  • パターン4【もっと ⇄ そこそこ】
  • パターン5【自分本位 ⇄ 他人本位】

パターンの詳細は本書でご確認いただくとして、私のカメラの問題は「【もっと ⇄ そこそこ】と【大局的 ⇄ 近視眼的】」のパターンに当てはまりそうです。たとえば、【もっと ⇄ そこそこ】のパターンだと「新しいカメラが欲しいけど、今の手持ちでも十分撮影ができる。」という矛盾した感情に気づけます。

「第5章 パラドックスを受容して、悩みを緩和する」では感情パラドックスを発見する5つのステップも紹介されています。そのステップを使うことで自身の感情の解像度があがり、次の6章で紹介されるパラドックスを編集することで解決が導けるでしょう。

リフレームで解決策を見つけよう

「第6章 パラドックスを編集して、問題の解決策を見つける」では、「切替戦略」「因果戦略」「包含戦略」の3つの戦略で感情パラドックスを編集して解決する方法が学べます。

たとえば、「包含戦略」だと「新しいカメラが欲しい」「手持ちでも十分撮影できる」の2つを包含する問いを立てます。たとえば、「カメラを通して実現したい体験とは?」ということです。考えてみると「撮影することで日常を記念日にしたい」という答えが出てきました。ということは、気軽にサッと撮影できるRICOH GR IIIを買うということになります。なるほど、、、GR IIIか。

戦略を決めるまでのステップや各戦略の解説は本書で確認ください!

まとめ

問題の解決方法を見つけるための思考法が学べる本で、矛盾した感情を起点に解決方法を見つけるステップが新しいです。最近は私がコーチングやインテグラル理論に興味を持っていて「感情」についての興味関心も高かったのでちょうど良い時期に読めました。感情パラドックスを整理するためのステップ、整理したあと解決までのステップが具体的で分かりやすかったので、すぐに実践でも使えそうだと感じました。

感情の取り扱い方や問題解決の新しいステップを知りたい方にはお勧めできる本です。

参考

安斎さんが書かれた別の書籍も紹介していますので、合わせて見てみてください。
iucstscui.hatenablog.com
iucstscui.hatenablog.com