前作にあたる「カイゼン・ジャーニー」は心を動かされ、一歩踏み出すきっかけになりました。越境というキーワードをもとに活動の幅がぐんっと広がりました。今回は同著者の市谷さんによる「チーム・ジャーニー」です。いやがうえにも期待が高まります。
チーム・ジャーニー 逆境を越える、変化に強いチームをつくりあげるまで
- 作者:市谷 聡啓
- 発売日: 2020/02/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
本書を読み終えて得た知識はさっそくチームに持ち帰って試しています。本書のように一気に変えようとせず課題と向き合いながら段階的に進んでいこうと思います。
今の現場で楽しみながら悩みながら答えを探し続けたい。そう思える書籍です。
読みやすく、実戦的
「チーム・ジャーニー」は章ごとにストーリー編(問題→解決)→解説編と進んでいきます。ストーリー仕立てなので読みやすく、問題や課題に対応するプラクティスを理解することができます。
僕はよくプラクティスを知ると導入したい病にかかって形から入ってしまうことがあります(今も若干。でも、気をつけてますよ)。
本書はチームの成長を追体験しながらプラクティスを知れるので現実の状況と本書の状況を重ねながら今の課題にあったプラクティスが見つけられます。
チームの成長を段階的に計画
本書は数多くのプラクティスや考え方が解説されています。ゴールデンサークル、コンウェイの法則、スキルマップ、リーダーとリード、ヒトデ型チーム、むきなおり、視座と視野、仮設キャンバス、日常と非日常の場づくり、、、まだまだたくさんです(ほんとに、たくさん)。
それらのプラクティスを活用しながら成長する重要な考え方が「段階」です。
理想と現実のギャップを埋める課題を一度にすべて解決しようとせず、段階的に設定して成長をコントロールしていきましょうという考え方です。Fearless Changeのステップバイステップと通ずる部分がありますね。
理想までの段階(本書では段階をジャーニーと呼びます)を計画して1段1段進めていきます。とうぜん計画通りには進まないので「ふりかえり」や「むきなおり」しながら計画を見直していくのです。
僕は1スプリント内*1で課題や問題を解決しようとしがちでした。しかし、ジャーニーはスプリントと別のリズムでチームの課題解決を計画します。いままでの自分に不足していた考えで、僕はスクラムの枠にとらわれすぎてるなぁと感じました。
枠にとらわれない
一度採用したプラクティスは状況に合わせて止めたり、変えたりしていました。また、チームの枠を超えて協働する場面もありました。
プラクティスの採用も複数チームの境界も一度決めるとその中で工夫しがちだと思います。ただそこにとらわれていると改善の範囲が狭くなります。
ふりかえり、むきなおりを活用しながら高い視点で考えるタイミングも必要ですね。
問い
「それで、あなたは何をしている人なんですか?」
カイゼンジャーニーのこのセリフに心が揺さぶられました。今回はチームが中心ですのでチームに問いがあります。
「私たちは何をする者たちなのか?」
チームに対する問い、個人に対する問い。両方と向き合いながら本書は進んでいきます。
与えられた課題と自分たちで決めた課題があった場合、後者のほうが自律的に自発的に動けると思います。
「問い」の力を感じたとともに、「なぜ?」を考える大切さを改めて認識しました。自分の現場でもチームで考えていきたいと思います。
さいごに
いろんな状況を解決する姿が描かれているので今の自分と重なる部分が見つかると思います。
きっと、今の現場に役立つヒントが見つかりますよ。