はんなりと、ゆるやかに

アジャイル、スクラムが好きが日々から学んだことをアウトプット

全体を捉えられるようになる / インテグラル理論を読んだ

課題解決のフレームワークとして使えたり、対立を和解したり、人の成長を支援したり、色んな場面で応用できそうなインテグラル理論を読みました。

前回も関連する本を読んだのですが、より深く知るために本書を読んでみました。前回の記事はこちら。
人が成長するとは、どういうことかを読んだ / 固定観念を外し、多様性を認め統合していくことが成長だと感じた - はんなりと、ゆるやかに

開発をしていると色々な課題にぶつかる時があります。対策してみても同じような課題が再び現れたりもします。根本原因が別のところにあったり、複数の打ち手が必要だったのかも知れません。そんなときに使える考え方が学べる本だと思います。

複雑な問題の糸口を見つけられる本ではないでしょうか。

インテグラル理論とは

Amazonのページから引用します。

インテグラル理論」とは、人・組織・社会・世界の全体像をより正確につかむフレームワークアメリカの現代思想家、ケン・ウィルバーが提唱しました。
インテグラル(統合的)」であるとは、差異の中にある共通性を大切にすること、多様性の中にある統一性を尊重することを意味します。
哲学、心理学、人類学、社会学、宗教、生物学、システム科学など
多様なテーマ、ジャンルを統合的に捉えることを通して、「人・組織・社会の健全な発達のモデル」を示しました。

私の理解した内容で説明すると、
インテグラル理論」とはモノゴトをあらゆる視点で見れるようになるフレームワークであり、考え方です。「インテグラル理論」を学ぶと、多様な視点で理解した複数の要素をすべて正しく必要な要素だと信じ、すべてを統合的に捉え、考えることができるようになります。

たとえば、対立している人々がいるとします。それぞれの声を聞き、そのすべての声を正しい声と捉えて、それぞれの声が生まれる構造を把握し、対立解消に向けて考えることができます。

本書は多様な視点で見れるようになるためのフレームワーク『「AQAL(アークアル)」=「全象限、全レベル、全ライン、全ステート、全タイプ」』を学び、それを使いこなすための考え方を学べます。

「AQAL(アークアル)」=「全象限、全レベル、全ライン、全ステート、全タイプ」

AQALは以前の記事の「インテグラル理論と成長」の項目で書いた内容と重複するので、そちらをご確認ください。領域、状態、タイプ、四象限の部分です。
人が成長するとは、どういうことかを読んだ / 固定観念を外し、多様性を認め統合していくことが成長だと感じた - はんなりと、ゆるやかに

改めて学んだこと

誰もが正しい。ただし、全体からすると一部だけ正しい

「誰もが正しい。ただし、全体からすると一部だけ正しい」はシステムコーチングで学んだ言葉です。本書からそれと通ずる考え方を感じ取りました。引用します。

ホロン( holon)とは、それ自体としてひとつの全体であるが、同時に、他の全体にとっての部分であるもの

原子という全体は分子という全体にとっての部分であり、分子という全体は細胞という全体にとっての部分であり、細胞という全体は有機体という全体にとっての部分である。世界を構成するのは、全体でもなく、部分でもなく、全体/部分、すなわち ホロンなのだ。 全ての象限、全てのレベル、全てのラインを構成する基本的な実体とは、単にホロンなのである

万物の理論を探求するにあたって、私はひとつのルールがあると考えている。それは、誰もが正しいということだ。もっと正確に言えば、全ての 人 ─ ─ 私自身を含めて ─ ─ が、 何らかの真実のかけ らをもっているということである。

インテグラル理論」のフレームワークを使うと色々な視点からモノゴトが理解できます。Aさんの意見、Bさんの意見、Cさんの意見。Aチームの考え、Bチームの考え・・・。それぞれの立場や考え方、価値観で意見が発せられます。当然、満場一致とはいきません。

何が正しいのか、誰が正しいのか。

インテグラル理論」だとすべて正しいということです。全体を構成する要素として必要な意見だということです。
何が正しいのか、誰が正しいのか。ではなくすべての要素を統合して、モノゴトを進めましょうと理解しました。

開発での活かし方

メタ的な考え方ですので、どうやって開発に適応するのか難しいところではありますが、本書内では「ビジネスへの応用」という項目があります。市場分析とマネジメント能力の向上に役立てられると書かれています。

象限の考え方は分かりやすいと思います。個の内面と外面、集合の内面と外面を考慮しながら個々の成長をサポートできたり、課題解決を進められたりします。

内面について

内面を考えるきっかけになったことは本書を読んで一番の学びかも知れません。外面(スキルなど)はスキルマップなどで表現もできるので分かりやすいですが、内面は見えない部分なので考えたことがなかったと思います。本書では「発達 とは、自己中心性が次第に減少していくこと」と定義しています。スキルを使う目的が自分のためなのか、チームのためなのか、社会のためなのか。その人の発達レベルはどこにあるのかを考えられると、どのレベルでの発言か把握できます。
どのレベルでの発言かが分かれば、全体を把握するためのヒントになります。

まとめ

メタな視点を得られる本ということで抽象的な本ですが、インテグラル理論に関する書籍は2冊目ということで読みやすいと感じました。考え方の本なので明日に使える具体的な手法という本ではありませんが、あらゆる場面で応用が利く考え方だと思いました。

モノゴトを多様な観点から捉えて、そのモノゴトで起こっている全体やシステムを把握し、打ち手を考えられるようになりたいと思いました。

補足

※システムコーチング®、Organization & Relationship Systems Coaching®、ORSC® は、CRR Global Japan 合同会社登録商標です。http://www.crrglobaljapan.com