今回の本
今回の本は「突破するデザイン— あふれるビジョンから最高のヒットをつくる」。副題から伝わるようにイノベーションに関する本だ。この本はデザイン思考のような観察して外からの情報を得てアイデアを出すのではなく、自分の内にあるビジョンからアイデアを出そうと言っている。その時、大切なことは「意味」を捉えなおすということだ。本書の中でも紹介される例はロウソクだ。灯りを取る道具だったロウソクは電球の登場で市場から消えそうだが、ロウソクの意味を「香りと雰囲気を演出するアイテム」と捉え直すことで、新しい市場を開拓した。
意味を捉えなおし、自分の内にあるビジョンでイノベーションを起こすプロセスが本書の提案だ。本書が提案するのはブレストのようにたくさんの人と混ざってアイデアを出すのではなく、一人のアイデアを徐々に人を増やしながら批判し、イノベーションに育てるというものだ。以下がそのプロセス。
①自分(Stretch) : 仮説を伸ばし深める
②ペア(Sparring) : 信頼できる相手と批判し合う
③ラディカルサークル : 複数ペアで衝突・融合
④解釈者(Interpreter) : 外部専門家の問いを受ける
⑤人々(People) : 市場・社会から反応を得る
気になった部分を取り上げる
イノベーションは顧客への「贈り物」
意味のイノベーションをつくりだすことは、顧客との交流をより高いレベルに引き上げる。人々が本当に価値を感じていることは何なのかに焦点を当てる。人々が優れた性能に対して愛着を持つわけではない。それは時代遅れだ。人々が愛着を感じるのは、対象が人であっても何であっても、「意味」から生まれる。
p21
「贈り物」の喜んでもらえるかなーという相手を想う気持ちで商品をつくることはとても良いと思う。花束は何かをその人の困りごとを解決するものではないが、喜んでもらえる。それは、形以上にその「意味」が届くからだろうと思った。
ユーザーを観察して課題を見つけて解決した商品を作るもの大切だが、それを超えて想いが伝わり、ユーザーに愛してもらえるような商品を作りたい。
ちなみに、ユーザーを観察して課題をみつけて解決するアプローチを本書は否定していない。プロセスの順序として、本書のプロセスを経た後にユーザー観察して取り組む方法をお勧めしている。
批判思考
1人の内なるビジョンから始まるからこそ、固定観念に縛れている可能性があり「批判」を大切にしている。批判によってビジョンを鍛えて、より強固なイノベーションを作り上げる。
アイデア出しと言えば、ブレスト。ブレストは複数人で他人の意見を批判しないルールのもと行われることが多い。それとは真逆のことをいっている。
批判は自分と違う意見であってネガティブに捉えることはないと思っている。より良くするために批判は大切だと思う。ソフトウェア開発でもコードレビューで批判を通して、品質担保、育成が行われている。
さいごに
イノベーションを起こすアイデアの新しい考え方が学べた。一人の内なるアイデアから多くの批判を受けながら進めるプロセスはしんどさもあると思う。そのため、フォロアーがとても重要だと感じている。アイデアを出す側も批判する側もお互いに信頼・尊敬し、進めないと難しいだろうなーと思った。
補足
意味のイノベーションのTEDを翻訳されたブログ
「意味のイノベーション」 TEDxプレゼンの日本語訳|渡邉康太郎 / Takram @『コンテクストデザイン』青山ブックセンターにて発売中
フォロワーの大切さが分かる『デレク・シヴァーズ 社会運動はどうやって起こすか』というTEDの動画
社会運動はどうやって起こすか
