問いのデザインを読みました。
会議のファシリテート、1on1、ワークショップ。あらゆる場面で活躍する「問い」はプロジェクトの成否や人生を変える可能性を持っています。固定観念が解き放たれるような、新たな気づきが得られるような。そんな「問い」のデザインが得意になれば開発者としてもマネージャーとしても強みになります。
本書は「問い」をデザインする技術が学べます。
目次
序論 なぜ今、問いのデザインなのか
PartⅠ 問いのデザインの全体像
1章 問いのデザインとは何か
1.1. 問いとは何か
1.2. 創造的対話とは何か
1.3. 基本サイクルとデザイン手順
PartⅡ 課題のデザイン:問題の本質を捉え、解くべき課題を定める
2章 問題を捉え直す考え方
2.1. 問題と課題の違い
2.2. 課題設定の罠
2.3. 問題を捉える思考法
3章 課題を定義する手順
3.1. 目標を整理する
3.2. 目標のリフレーミング
3.3. 課題を定義する
PartⅢ プロセスのデザイン:問いを投げかけ、創造的対話を促進する
4章 ワークショップのデザイン
4.1. ワークショップデザインとは何か
4.2. ワークショップの問いをデザインする
4.3. 問いの評価方法
5章 ファシリテーションの技法
5.1. ファシリテーションの定義と実態
5.2. ファシリテーターのコアスキル
5.3. ファシリテーターの芸風
5.4. 対話を深めるファシリテーションの技術
5.5. ファシリテーションの効果を高める工夫
PartⅣ 問いのデザインの事例
6章 企業、地域、学校の課題を解決する
問いによって変わる視点
本書で「問いのテイスティング」として思考が変わる2つの問いが紹介されています。
A.あなたがこの本を手に取った理由は?
B.あなたがこの本を読み終えるころに得ていたいものは?
AとBを比べると、Aは困っている理由が返ってきて、Bは困っている理由を解決する手段が返ってくると思いました。同じようなことを聞いても、聞かれた側の思考が変わります。これが問いの力で問いの可能性です。
このAとBのどちらが効果的な問いかについては解決したい問題によって変わります。
問いも学習しながら変えていく
問いの基本サイクルが紹介されています。問い→対話→発見→問い→対話→発見→・・・と問いによって生まれた対話から新しい問いを見つけて持続的に学びます。
問題の本質が明らかになっていない場合は問題の本質を明らかにする問い使って対話して見つけていきます。問題の本質が見つかれば新たな問いによって解決案を見つけます。1度の問いですべて解決するのではなく、問いを繰り返して具体的な行動に落とし込めるまで進めます。
ブレストなどで新しいアイデアを出そうしますが、どうも新しさに欠けるアイデアがだったり、そもそも意見が出ない経験があります。その原因は全員が本質を掴めてないままファシリテートしていたなぁと思い返しながら読んでいました。解決したい問題の本質を全員で理解してから新しいアイデアのブレストするべきだったと反省しました。
対話については過去に読んだ「他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論」が参考になりますし、参考図書としても紹介されていました。
iucstscui.hatenablog.com
問題をあらゆる角度からせめてみる
「問い」の力を知ったので効果的な問いを設定したくなります。しかし「じゃあ、設定しよう!」と考えてみても簡単に作れるものではありません。本書では5個の思考で問題を捉えて問いを考えてみることが提案されています。
- 素朴思考
- 天邪鬼思考
- 道具思考
- 構造化思考
- 哲学的思考
この5つの思考法に限らず人によって得意な思考法があると思います。そしてそれが固定観念を生み出してしまいます。ひとつの問題を多角的な思考で考え、問いを設定すると今まで気づかなかった考えや新しいアイデアが生まれるので、考えの引き出しを増やしておけば煮詰まったときに次の問いが出せますね。
問いを活用したプロセス
問いを活用したプロセスとしてワークショップの構造が紹介されています。ワークショップは「導入」「知る活動」「創る活動」「まとめ」の構造で考えます。「導入」「知る活動」はワークショップのテーマに関する知識や視点を学び、「創る活動」「まとめ」は新たな意味やアイデアを創ります。それぞれの部分で効果的な問いを使い、メンバーの固定観念を外したり、新たな気づきを与えます。
大事だと思った点は「知る活動」です。いきなり新しいアイデアを考えるのではなく「創る活動」に必要な知識や経験をメンバーで対話する時間をつくって「創る活動」をより効果的にします。
ワークショップのデザインを知る前は概要を説明して出来るだけブレストの時間を取ろうと考えていました。今後は「知る活動」の時間を設けるようにします。
まとめ
- 「問い」は会議のファシリテート、1on1、ワークショップ多くの場面で活躍する技術
- 多面的な角度で問題を捉えることで良い「問い」を設定できる
- ワークショップは「創る活動」も大切だが、「知る活動」も同じ以上に大切