「THE HEART OF BUSINESS(ハート・オブ・ビジネス)――「人とパーパス」を本気で大切にする新時代のリーダーシップ」を読みました。
事業が落ち込んでいたベスト・バイ社を復活させたユベール・ジョリー氏。本人によって書かれた経営哲学と再建のエピソードがまとめられた本でした。ここ数年で耳にすることが増えた「パーパス」について理解を深めるとともに、働く意味についても深く考えるきっかけになる本でした。
実際に行動にうつしていきたいと思ったことを整理してまとめていきます。
何よりも人を大切にする
「働くうえで人が大切」と思う方は多いと思います。私もそのうちの一人です。コーチングを学び、多くの人が充実して生活できる状態をつくりたいと思っています。でも、ほんとうに「人を大切にしている」と胸をはって言える行動ができているでしょうか……。
サブタイトルにも書かれているとおり、著者はとことん人を大切にされています。心に響いた部分が何箇所もありました。
・企業の重要な要素は「人→ビジネス→財務」なので、ビジネスレビューも「人」から始まる。
・ビジネスの秘訣は最高のメンバーが顧客にとって最高の仕事をして結果につながること。メンバーが顧客のニーズやそれを満たす最適なサポートを心から理解し、配慮することで生じる。
・従業員たちを「リソース」ではな く「ソース(力の源泉)」と捉える。
・会社のパーパスと各自の夢がどのように結びついているかを認識できるようサポートしてきた。
などなど
人、ビジネス、財務の優先順位で行動し、ベスト・バイ社を復活させたエピソードも多数です。
たとえば、ビジネスレビューでは、人、ビジネス、財務の順にされています。売り上げ目標などのKPI以外に、従業員アンケートやネットプロモータースコアなどの評価指標も追加されています。また、業績低下により削られた福利厚生を復活させたことも書かれていました。
ここから学べることは「人を大切にする」とはそれに見合った改善をするということです。「人を大切にする」理念を掲げただけでは変わりません。
行動です。どうすれば、みんなを幸せにできるんでしょう。私も考え、行動しなければ。
各自の夢とパーパスを結合する
「あなたの夢はなんですか?」
「あなたがそれを叶えていけるよう、一緒に力を合わせて働こう」
売り上げが好調だったサウス・バイ店のマネージャーが、個人の夢と会社のパーパスを紐づけるように行動したエピソードが紹介されていました。
こんなふうに言ってもらえると、心強いですね。さらに、夢が叶うための働き方を一緒に考えてくれたり、実際に行動してもらえるとなおさら嬉しい。まずは、相手の夢を知ることからですね!
しかし、色んな方と話していてわかることは「やりたいことがない、夢がない」人も多い。
やりたいことがない方と話していて、思い出すことはジブリの鈴木敏夫さんのお話です。たしか、「ジブリ汗まみれ」というPodcast聞いた記憶があります。
調べると似たことを話されている対談記事があったので引用します。
目標を決めてそれに到達すべく努力する、っていう考え方あるでしょ? 一方で、目標を定めないで目の前のことをコツコツやってく。それによって開ける未来もある。
夢や目標がないならないで良い。その場合は目の前のことに意味を感じて充実していて欲しいなーと思いますし、そうなるように支援したい。
充実した日々を感じてほしい
充実というキーワードからもう一つのエピソードを紹介します。ラドスールというアメフトチームのコーチによるエピソードです。
今夜君たちに完璧なプレイを求めてはいない。そんなのは不可能だ」とラドスールは試合前の選手たちに言う。「だが私たちが求めていて、君たちも自分自身やメンバーに対して求めるべきなのは、完璧な努力だ。」ラドスールがチームに教えたのはマスタリー(熟達)を目指して努力することだった。
もう一つ、合気道の指導者の言葉。
本質的には無目的で、長期にわたるマスタリーのプロセス」こそが人生の成功と充実への確かな道だと語っている
さらに、超相対性理論というPodcastで熟達論でのお話。
熟達の道を歩むには(為末大さんゲスト) | 超相対性理論
結局すべてなくなるのになぜ頑張るのか。主観的体験と夢中なった日々があっことがすべて。
それぞれの共通点は目の前のことに夢中になっていることです。そして、それ自体に価値があるということです。
目的・目標は理解しつつも、今この瞬間に夢中になれると充実感を感じられる。結果、パフォーマンスがあがり、成果が出る。
じゃあ、どうすればそういう状態が作れるのか? 本書では6つの要素が紹介されていました。その中から「集団ではなく個人を育てる」を紹介します。
特別に業績向上しているエリアを視察すると、一人ひとりと個別ミーティングし、ふりかえり、キャリアパスの確認をしていたそうです。結果、その人にあった育成が促せて売り上げがあがったようです。
スキル的な成長観点でもそうですし、見てもらえている実感によるモチベーション向上もありそうだと思いました。
さいごに
気になった箇所から抜粋して紹介しました。紹介できていない部分もたくさんありますので、気になった方は本書を手にとって頂ければと思います。全体通して、人と本気で向き合うこと。それによって一人ひとりが充実して働けますし、事業としても成功するということが分かりました。ただ、事業の成功まで進めるには本気で信じる必要があるし、熱意だけでなく行動も変える必要があるということも学びました。