「開発中の学びをデザインしたい」
ソフトウェア開発、特に開発中の学びについてヒントを見つけるためにリフレクティブ・マネジャーを読みました。
本書は金井壽宏さんと中原淳さんがパネルディスカッションのようにお互いの考えを交互に語り合う構成になっています。1冊でお二人分の考えを知れるお得な書籍です。
テーマはタイトルのとおりリフレクティブ(内省)です。「内」という漢字から、内省はひとりで自分の内側を見つめ直すようなイメージがありませんか?本書は「内省は人と人の関わり」の大切さが書かれています。他者と関わることで言語化でき、フィードバックを得られます。そしてそれが成長に繋がります。
ふりかえりや1on1など内省に触れる機会はありますが、上手くできている自信はありません。だからこそ本書を読んで内省を自分のものにしたいと思ったのです。
目次
- 第一章 「上司拒否。」と言う前に
- 第二章 内省するマネジャー————持論をもつ・持論を棄てる
- 第三章 働く大人の学び————導管から対話へ
- 第四章 企業は「学び」をどう支えるのか
- 第五章 企業「外」人材育成
- あとがきという名のリフレクション
- やや長めでおせっかいなあとがき
内省は自分をアップデートするきっかけ
内省について辞書で調べてみると以下のように書かれています。
自分の考えや行動などを深くかえりみること。
内省によって自分の悪かったことや良かったことなどを振り返って、次の行動を考えます。良かったことをより伸ばしたり、周りに共有したり、悪かったことをカイゼンしたり。今後の行動をアップデートするきっかけづくりが内省です。
内省には持論、言語化
第二章は「内省するマネジャー 持論をもつ・持論を棄てる」というタイトルで持論について語られています。
本書の中で持論は以下のように書かれています。
自分の行動の言語化=持論と言ってもいいのかもしれませんね。
僕の好きなテレビ番組に「プロフェッショナル 仕事の流儀」があります。各分野のプロフェッショナルな方々のドキュメンタリー番組で、仕事に対する考えや過去とのつながりを掘り下げる番組です。この番組の最後に「あなたにとってプロフェッショナルとは?」という問いがあり、これが持論ですね。
こういった大きな問いでなくとも、「開発で注意していること」も人それぞれ違うと思います。これも持論ですね。
読みながら僕の持論はなんだろうと自らに問うてみましたが、見つかるようで見つからない。開発中はいろんな判断をしています。その時、自分の基準をもとに行動しています。そこに持論が隠れているように思います。その時の考えを言葉にするだけなのにできないって、言語化は難しいですね。
「言語化によって自分の考えを他者と共有するとき、内省が生じやすい」と本書でも書かれており、内省にとって言語化(持論)は重要な要素です。1on1、ふりかえり、むきなおり、など自分の考えを言語化したり他者の言語化を引き出す場をデザインして、言語化を意識したファシリテートを心掛けたいです。
内省を深める他者との関わり
本書は研究された調査結果などから他者との関わりが内省や成長に大きな影響することを分析されています。
僕も社内外に関わらず勉強会に参加しています。ひとりで本を読んでいる時間や登壇者の方の発表を聞く時間も大切ですが、同じぐらい参加者と自分たちの考えを話す時間も大切です。自分の考えを整理して伝えることで言語化のきっかけになりますし、相手の方の言語化された考えを聞くことで自分の価値観を更新できます。他者と接することで言語化が進むのですね。
個人やチームの成長は個々の頑張りではなく、関わりが大切なのでしょう。
開発中の学びをデザインする
成長には内省、言語化が大切だと分かりました。
また本記事では触れていませんが、成長感を感じる要素や、Unlearn、上司から部下の指導の注意点、緊密なコミュニケーションより批判的なコミュニケーション、などなど多くの考えが本書にまとめられています。
冒頭に書いた「開発中の学びをデザインしたい」に対するヒントが見つかりましたので、今後意識したいこと、行動したいことをまとめておきます。
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